補聴器外来

補聴器外来とは

聞こえ(聴覚)の悪化に伴う日常生活の不便を軽減する為、補聴器に関するご相談、助言、補聴器の選択・調整、補聴器適合検査、補聴器販売等を行っております。
当院の補聴器外来では、2~3カ月の試用期間を設けております。まず、純音聴力検査、語音明瞭度検査などの聴覚検査を行い、補聴器が聞こえ(聴覚)の恢復に有効か否かを判断致します。 補聴器の有効性が期待できる場合は、複数のメーカーの中から、医師・言語聴覚士とご相談の上、試用する補聴器を選択して頂きます。その後、約2週間に1度のペースで、補聴器の周波数特性や利得を調整していきます。補聴器から出力する音を段階的に、2~3カ月かけて増幅することで、増幅された音に耳や脳が順応し、言葉の聞き取りが改善されます。この過程が試用期間となります。その後に、ご購入されるかどうかを決めて頂きます。当院の補聴器外来は、医師、言語聴覚士など医療従事者のみで行っております。どうぞ安心してご相談下さい。

難聴と補聴器

補聴器を装用すれば、若く健康であった時のような聴覚が必ずしも手に入る訳ではありませんが、正しく選択・調整された補聴器を装用して、専門知識と経験をもった医師・言語聴覚士と共に補聴訓練を行うことで、聞こえ(聴覚)の恢復は十分に期待できます。一方すでに補聴器は持っているけれども、うまく使いこなせていない方も、適切に再調整し、聴覚のリハビリテーションを行うことで、同様の効果を望めます。当院では、主要な国内メーカー及び国際的に流通している殆どの補聴器の調整が可能です。また複数の言語聴覚士が補聴訓練を行っておりますので、どうぞお気軽にご相談下さい。

難聴と抑うつ、認知症

難聴による弊害は数多ありますが、中でも深刻なことの一つに会話を楽しめない、ということがあります。“人生の最上の楽しみはおしゃべりにある”とアメリカの詩人、エマーソンは言っています。会話によって伝達される情報内容が重要であることは当然ですが、人と人との間に交わされるおしゃべりという行為自体がとても大切です。家族や親しい友人との、心を開いた会話は、傷付いた心を真に癒してくれます。また聴覚刺激は、脳を活性化することも分かってきており、難聴は、抑うつや認知障害と関連があることが指摘されています。最新の研究によれば、認知症のリスク要因のなかで、最も大きな影響を与えるのが、難聴であることが示されました。言い換えれば、聴力を改善する補聴器の装用で認知症の発症や進行を遅らせることができる可能性が示されたことになります。
軽度の認知障害のある方の中には、難聴が進行していても、ご自身で聞こえの不自由さを自覚されておられない方も多くいらっしゃいます。 このような患者さんには、ご家族や周囲の方々の注意深い観察が唯一の頼りとなります。聞こえの問題の自覚のない方でも、ご家族などのご相談をきっかけに難聴が認められた場合は、補聴器の装用をお勧めしております。また逆に、難聴がある為に、記憶・認知機能の検査が正確・適切に行われず、誤って認知障害と診断されている例も報告されています。このような難聴と認知障害の関連に鑑み、当院の補聴器外来では、補聴器装用の開始前、及び補聴器を装用し聴覚リハビリテーションを行った後に、ご希望の方を対象に、聴覚に左右されない方法で、記憶・認知障害の検査を行い、患者さんの記憶・認知障害の有無・程度を正しく評価することも行っております。